射出成型シミュレーションと構造解析の統合でPLMに更なる価値アップ

プラスチック製品は日常生活に深く根付いています。電子機器や自動車のパーツから、医療機器や光学レンズなど、身の回りには多くのプラスチック製品があります。しかし、プラスチックが日常生活に密着するにつれ、強度や耐久性、そして環境への影響を考慮した製品の軽量化など、今やプラスチックには多くのものが求められています。複合材料の歴史は6,000年前にさかのぼります。人類は麦と泥を混ぜ合わせることでより強固な建造物を作ることをはるか昔から知っていたのです。数千年の進化を経て、第二次世界大戦中には樹脂マトリックスにガラス繊維を混ぜた強化プラスチックが開発されました。今日では製品の強度を高めるために強化プラスチックが広く利用されており、また、低コストで軽量の強化プラスチックは金属に代わって電子部品の筐体、車のボンネット、航空宇宙製品などに用いられています。

このような合成繊維のプラスチックへの添加だけでなく、微細発泡処理によってもプラスチックの軽量化が実現されています。微細発泡処理とは、ガスとポリマーメルトを混ぜ合わせて微細気泡構造体を生成するもので、材料の削減と軽量化を図ります。

製品寿命サイクルの管理は、新製品の開発、市場調査、設計、開発、大量生産といったあらゆる場面で不可欠になりました。そして、生産開始前に製品の成功を決定づけるものが解析です。たとえば、射出成形製品の解析には成形工程解析及び構造解析が含まれます。従来のCAE解析では成形条件が構造解析に与える影響を考慮できなかったため、製造過程で製品が受ける影響は無視されてきました。その一方で、繊維強化プラスチックまたは微細気泡プラスチック製の製品における微細構造分布は金型設計と工程設定により決まります。つまり、ゲート位置や射出速度が繊維の分布や配向に影響し、ゲート位置と対圧は微細気泡の分布と密度に影響するのです。このような、これまでは考慮されてこなかった微細構造への影響こそ、正確な予測に必要不可欠であり、これまでは製品寿命サイクルの管理目的は果たされてこなかったといえるでしょう。

product life cycle management

CD-ROMドライブのベアリング固定個所を例にとり(Fig.1)、ディスクの出し入れの際に製品の両端にかかる対圧を考慮します。ディスクが破損する可能性があるため、A点とB点の高さの違いは1mmを超えてはいけないものとします。製造工程で製品が受ける影響を示すため、充填時間を変えて成形解析と構造解析を実施しました。Fig.3はMoldex3D解析の繊維配向分布を示しています。繊維配向の度合は色で示されており、青が不規則、赤に近づくほど規則性が高くなります。ここから、充填時間が短くなれば繊維配向分布の規則性が高くなり、微細構造を形成することがわかります。Moldex3D FEAモジュールから得た情報を用いれば、より現実的な構造解析が可能となります。

      1. メッシュ情報:Moldex3D解析結果を別の構造ソフトウェアのメッシュタイプに反映
      2. 材料情報:Moldex3D解析による材料特性を構造解析ソフトウェアで利用
      3. 繊維配向情報:不均質な微細構造特性の計算をDigimatで利用

adding-value-to-plm-with-integration-of-molding-simulation-and-structural-analysis-1Fig.1 CD-ROMドライブのベアリング固定個所の製品寿命サイクルの管理
adding-value-to-plm-with-integration-of-molding-simulation-and-structural-analysis-2Fig.2 ベアリング固定個所における力と製品仕様による制限

上記の情報で完全な解析フローが成り立ちます。Fig.4に、充填時間を変更したCD-ROMドライブのベアリング固定個所の構造解析結果を示します。この結果から、この工程が製品の品質に与える影響の大きさが見て取れます。また、非線形であることから、射出速度は製品の品質に影響しないこともわかります。中程度の充填時間(0.2秒)で製造された製品と、充填時間を長く(1.0秒)して製造された製品はいずれも製品仕様を満たしています。しかし、充填時間が中程度である場合は残留応力が抑えられ、最良の製造パラメーターとなります。

製品寿命サイクルを管理するというコンセプトの導入から数年が経ち、多様な業界の企業がこのコンセプトを取り入れています。プラスチック製品の成形工程において発生する材料の変動による影響は、考慮すべき重要な点です。そして、製品の出来上がりを実際の生産前に現実的に予測し、コスト削減と納期短縮を後押しできるのはMoldex3Dの成形解析と構造解析を統合した解析だけなのです。

adding-value-to-plm-with-integration-of-molding-simulation-and-structural-analysis-3Fig.3 繊維の配向分布に充填時間の変化が与える影響
adding-value-to-plm-with-integration-of-molding-simulation-and-structural-analysis-4Fig.4 構造解析結果に充填時間の変化が与える影響

Test drive Moldex3D

Join the thousands of companies using Moldex3D

Talk to Sales

Schedule a product demo with our sales team