Moldex3Dの新機能:バルブピン制御解析

近年、ホットランナー金型においてバルブゲートシステムの利用が広がっており、自動車や電子機器、医療関係まで幅広く適用できる用途の広さに注目が集まっています。バルブゲートホットランナーシステムは様々な製造上の利点があります。たとえば、ゲートを通過する樹脂の流動を正確にコントロールすることにより、部品品質の向上、サイクルタイムの短縮、ゲートにおける溶融樹脂の糸ひきや樹脂漏れの防止を図れます。また、「アドバンスト・シーケンシャル・バルブゲート(SVG)」技術では、バルブゲートの開閉時間をプログラム化してホットランナーシステムと連携させ、キャビティ充填パターンの制御性を向上し、表面に生じるウェルドラインやニットを効果的に解決できます。シーケンシャルバルブゲートは自由度と適応性が高いものですが、その適用は容易ではありません。充填時間が長くなれば、ホットランナーシステム内の圧力は上昇し、閉じていたバルブピンが開いたときには圧縮されていた樹脂が爆発的な速度でキャビティに流れ込むため、流動部品にフローマークや不均等な光沢などが生じやすくなります。

シーケンシャルバルブゲートの利点を部品の品質に最大限に生かすため、ホットランナーシステムの製造者はバルブピンの動きと速度プロファイルの制御性を向上する新しい技術を開発しました。このような市場の要求に応えるため、Moldex3Dは新たにバルブピン制御技術に対応した充填解析機能を実装しました。Figure 1に示すように、Moldex3D Advanced Hot Runnerモジュールでは、実際のホットランナーの設計に基づいて一般のバルブゲート(General Valve Gate)解析とAHR(Advanced Hot Runner) Pin Movement解析を選択できます。AHR Pin Movement解析を選択すると、バルブピン制御の開閉に用いる速度のプロファイルを指定できます(Figure 2)。この解析から、バルブピンの位置変更によりゲート部分の流速場が変化する様子がわかります(Figure 3)。さらに、Moldex3Dの充填解析(Figure 4)におけるバルブピン機能は、充填パターンの改良と、大幅な速度変化の軽減によって、予期しないフローマーク発生防止にも役立ちます。

use-moldex3ds-new-pin-movement-analysis-technology-to-yield-greater-process-gains-1Figure 1: Moldex3Dホットランナー解析結果:
(左)General Valve Gate解析、(右)AHR(Advanced Hot Runner) Pin Movement解析
use-moldex3ds-new-pin-movement-analysis-technology-to-yield-greater-process-gains-2Figure 2: Moldex3Dピンムーブメント速度プロファイル設定画面
use-moldex3ds-new-pin-movement-analysis-technology-to-yield-greater-process-gains-3Figure 3: バルブピンの位置によるゲート部分での流速場の変化
use-moldex3ds-new-pin-movement-analysis-technology-to-yield-greater-process-gains-4use-moldex3ds-new-pin-movement-analysis-technology-to-yield-greater-process-gains-5Figure 4: Moldex3Dを用いたバルブピン制御解析結果
(左):マルチゲートを配したデザインで、シーケンシャルバルブゲートにすると、予期しないフローマークが生じる
(右):バルブピン制御解析技術により、フローマークの低減と部品品質の向上が可能

さらに、プリプロセス段階においてMoldex3Dの高度なメッシュ生成ツール(Figure 5)を用いてメッシュモデルを作成できます。ホットランナー、バルブピンや、そのストロークなどを含むバルブゲートシステム全体を簡略化することなく、実際の形状に基づいてメッシュモデルを作成できます。Moldex3Dの高度なメッシュ作成技術では、バルブゲートシステムの複雑な形状を正確に3Dメッシュに置き換えることができるため、より高い解析精度を提供します。さらに、Moldex3Dは、成形条件設定において、初期バルブゲート条件(開・閉)、ピンの摺動速度、複数段階での速度プロファイル設定など、各ゲートの個別条件を指定できる柔軟性に優れており、バルブゲートの解析において非常に価値のある解析ツールであるといえます。

use-moldex3ds-new-pin-movement-analysis-technology-to-yield-greater-process-gains-6Figure 5: Moldex3Dもメッシュ生成ツールによって、バルブゲート設計全体の実際の形状
に基づいてメッシュモデルを作成できます。

樹脂射出成形業界において、すでにホットランナーシステムの導入は一般的となっていますが、高度なホットランナーソリューションの開発には今なお多大な労力が必要とされています。Moldex3DのAdvanced Hot Runner解析とバルブピン制御解析によって、成形シナリオを可視化し、シーケンシャルバルブゲート設計の最適化とその利点の最大活用ができ、さらなる生産効率の向上につながります。

use-moldex3ds-new-pin-movement-analysis-technology-to-yield-greater-process-gains-7Figure 6:AHR(Advanced Hot Runner)バルブピン制御解析機能によるシーケンシャルバルブゲートの検討

Test drive Moldex3D

Join the thousands of companies using Moldex3D

Talk to Sales

Schedule a product demo with our sales team